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[ 子供と一緒にどこ行こう ] - [ 子供たちとのスキー記録(3) ]


長男は初めからストックを持っていた。
ファミリースキー系の本やサイトなんかを見るとその大半は「最初からストックを持たせるべきではない」としているが、私は構わなかったので、子供のやりたいようにさせた。ストックを持ちたいと言うから持たせたわけだが、ただしその時に握り方だけはきちんと教えてあげた。
「下から通して一緒に握る」
これもまた呪文のように唱えていたので、ちゃんと握るクセが自然と付いたようである。滑り出しの時にポンとストックを渡し、すぐさま行こうとすると「まだ、準備できていない」と言い、手を通さずにストックを握ることは気持ち悪く感じるようになった。自分で手を通すことはまだまだ難しいようだが、感覚的にそういったことを覚えるというのはいい傾向かもしれない。

4歳のシーズンを迎え、自分で滑れることを目指して練習をすることにした。娘も2歳になり、本格的にソリ遊びを始めることになったので、それまで長男が着ていたウェアを譲渡、長男のウェアは新調したものになった。新しいウェアで気分が乗っていたのかはわからないが、練習しようといったことに特に拒否するような表情も見せなかった。
止まることを教えれば、ひとりで滑れるようになる。では止まるにはどうしたらよいのだろう。この私でもさすがにどのように教えると効果的で、より本人に認識させることができるか、なかなか悩んだ。揃えた板を開き出し、いわゆるプルークのスタンスができればスピードは落ち、やがて止まる。それはわかっているのだが、どう教えるかは想像の範囲を超えてしまっている。
わからないなりにとりあえずスタンスを教えた。「板、三角」──これをやると止まる、と教えたわけではなく、まず止まっているところでこれをやらせた。斜面に立って止まっている時にこれをやらせたのだ。
つまり、斜面に向かって垂直に立ち、今までやってきた「板、まっすぐ」の状態で私が手を離せば滑り出してしまうが、「板、三角」をやっていれば滑り出さない、ということを教えた。
揃えた板を開き出すのはきっと難しかろう、と判断した私なりの結果であった。
斜面に向かって垂直に立たせ板を三角に開かせる。最初は立つのももどかしいがしばらくするうちにやがて動かずに立っているようになった。立てるようになったら手を離して私が2〜3m下へ走り、さあ来い、と滑らせた。先シーズンまでやっていた、「まっすぐ突っ込ませる」スキーである。
私は長男に対して、滑る時は「板、まっすぐ」を繰り返し、長男もそれを忠実に実行してきたので、滑って突っ込んで来る時は、板はまっすぐである。これによって、立って止まっている時の「板、三角」を自分で無意識のうちに「板、まっすぐ」に閉じ、私に突っ込んでくるようになった。1本リフトに乗ってはこの練習を何度も何度も繰り返した。長男にしてみれば親の膝の間に挟まれて一気に滑り降りることに比べたらきっと爽快感は少なかろうに、自分で滑っているという意識があったのだろうか、さほど嫌な顔もせず、これに付き合っていた。
そんなスキーばかり繰り返し、シーズン3回目くらいだっただろうか、その練習にもだいぶリズムが出てきた。しっかり押さえて立たせて先に降りる、というのをやめ、三角で立ち止まったことを確認したら、後ろ向きのプルークで私が先に降り、長男に突っ込ませる、立ち止まらせてまた私が後ろ向きのプルークで降り、突っ込ませる、というやり方に変えた。そしてそのリズムを徐々に早めた。子供にしてみれば、三角、まっすぐにして滑る、突っ込む、また三角、またまっすぐ、また三角、その繰り返しである。そしてある瞬間、突っ込んでくる子供に殆ど手を貸さなかった。ゲレンデベースに程近い、もう殆ど平らな部分でだ。長男は繰り返されるリズムに頭が混乱していたのだろうか、次の動作に早く入ろうとしたのだろうか、自分から板を三角に開いていた。

思うに始めて止まれた瞬間だろう。
私はこのことを「できたぞ!」と長男には教えず、次のリフトの上で、「実は、滑っている途中に板を三角にすると止まることができるんだ」と言ってみた。長男は何のことだときょとんとしていたが、次の1本、すぐさまそれをやらせてみた。
板をまっすぐにしてスタート、ほんの1mほど滑ってスピードも全く出さなかったが、「よし、板、三角だ」の私の声に合わせて長男は停止した。

「やった!自分で止まれたじゃないか」私が長男にハイタッチをすると、やっと自分の状況が飲み込めたのか、満面の笑みに変わった。日光湯元スキー場での出来事である。

(15-OCT-2001 wrote)

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